しばらく日本からの連絡を待っていると、通信室から呼び出しの音が聞こえた。

一番側に居た葵が中に入り、通信機を取る。


「もしもし、辰巳殿か！？」

？「あ、葵さんですか！？　僕です！」

「その声は、アンドロメダか？　辰巳殿は如何した？」

瞬「た、辰巳さんはグラード財団の緊急病院へ向かいました！　僕は聖域側との連絡役を任されたので、こうして通信しています！」

「緊急病院？　まさか、アテナの御身に何事かあったのか！？」


葵の声に驚いた黄金たちが通信室の入り口に集まってくる。


サガ「葵、アテナに何かあったのか！？」

「わからん、今瞬から連絡を取ったばかりだ！」


葵は通信機のボタンを慣れた手つきで押し、瞬の声が他の黄金にも聞こえる様に操作した。


「瞬、続けてくれ。あぁ、その前に一度深呼吸するんだ。落ち着いて、順序良く話せ？」

瞬「は、はいっ…！」


しばらく間を置き、先ほどよりも落ち着いた声で瞬は通信を再開した。


瞬「では、僕が聞いた話を順を追ってお話します。話をしてくれたのは沙織お嬢さんの護衛で同行していた一輝兄さんと紫龍です。」

「一輝と紫龍はそこにいないのか？」

瞬「…２人は緊急病院へ搬送されている途中です。」

童虎「何じゃと！？」

シュラ「あの一輝と紫龍が病院送りになったとはどういう事だ！？」

瞬「…結論から言います。沙織お嬢さん、そしてパンドラ、会談相手であった九頭竜グループ総帥の九頭竜封真さんが…何者かに拉致されましたっ。」

黄金「「拉致だと！？」」

「それに、今パンドラと言ったか！？」

瞬「はい。パンドラは表向き、ドイツの名家ハインシュタイン家の令嬢。彼女にもそういったビジネスのお話もあるそうです。」

デス「資産家で有力者でもある３人を一気に拉致るだと？　しかも、一輝と紫龍もついていながら！？」

瞬「パンドラにはアルラウネのクィーンも護衛としてついていたようです。彼女も、緊急病院へ搬送されています。」