同刻、ギリシャ聖域。

黄金聖闘士専用コロッセオでは、今日も阿鼻叫喚のしごきが行われていた。

前山羊座の黄金聖闘士、御剣葵による現代黄金たちへの『優しい長期レッスン』が絶賛開催中なのだ。

しかもである、元々『最強の姫君』と言われていた葵が先の騒動で倒れてからと言うもの、彼女の調子はすこぶる良い。

（Ｒｅｖｅａｌを参照してくれ。←御剣より）

もう鼻歌交じりで最高に切れ味の増した聖剣をアッチへコッチヘぶっ放すものだから、現代黄金たちは毎日が聖戦状態、デッド・オア・アライブである。

しかし、すこぶる上機嫌なので不思議に思った現代黄金たちが休憩時に問うた。


シュラ「葵、この頃機嫌が良いようだが、何か良い事でもあったのか？」

「おおっ、よくぞ聞いてくれた！　実はな、この間私が倒れた事があっただろう？　あの後、すこぶる体の調子が良いんだ！　何ていうか、今まで持て余していた小宇宙が使いやすくなってきたんだｖ　おかげで、前世では考案してもなかなか形に出来なかった幾つかの技が、使えるようになるかもしれない。泣く泣くお蔵入りにした技なんだが、それが陽の目を見そうなんだ。そう思うと嬉しくて嬉しくて、聖剣もいつもより切れ味が増して仕方が無いんだ♪」

カノン「では、フランベルクやクレイモア以上の威力を持つものなのか？」

「形に出来ては居ないが、同等かそれ以上の威力は保障できるぞ。最近鍛錬していたら、完成も間近になってきたんだ♪」


あぁ、とても嬉しそうだ。

会話の語尾に『♪』とか付いている所を見ると、相当嬉しいのだろう。

会話の内容は思い切り物騒だが、葵の喜びようを見るとそれも忘れそうになる。

それほどまで、彼女は嬉々とした表情を隠せずにいたのだ。


ムウ「ああしていると、彼女がまだ１８だというのがわかりますね。」

サガ「そうだな。いつもはもっと大人びているから、彼女が１８だという事を忘れていたよ。」


自分たちが彼女の年齢だった頃は同だっただろう。

あんな風に笑う事が出来たかどうか、最早記憶に無い。

少年と青年の境目の自分を思い出し、現代黄金たちは少し遠い目をしていた。