サガの視線は迷いなんて欠片も無い真摯な眼差しで、見つめられている葵の方が恥ずかしくなってきた。


サガ「私は…葵を愛しているんだ。だから、だから、聖域の事を、皆の事を、私の事を忘れたいなんて思わないでくれ…！」

「サ…///」


葵は彼の名を呼ぶ前に抱きしめられていた。

二度と離さないと言わんばかりにきつく、きつく抱きしめられている。


沙織「…葵さん、記憶を消す必要はもうありませんね？」

「…はい///」

沙織「サガ、葵さんの荷物を下ろしなさい。」

「総帥？」

沙織「葵さん、貴女を正式に聖域専任秘書へ任命します。…愛する人の傍で１人の女性として過ごす。それも大事な事ですよ？」

「そ、総帥…///」

沙織「サガ、これからは葵さんを幸せにする事も貴方の役目になりますよ？」

サガ「喜んで、お受けいたします。この身滅びるその時まで、葵を愛し続けます。」

沙織「よろしい。葵さん、私が戻ってくるまではお仕事をお休みにします。その間、サガと静かに過ごしてください。」

「…はい///」


その返事に満足したのか、沙織は笑顔でセスナの中へ戻っていった。

やがてセスナがギリシアの青空に吸い込まれていくのを、サガと葵はずっと見送った。


サガ「葵、これからはずっと傍に居て欲しい。もう、貴女を悲しませたりしないと誓おう。」

「サガ…。私、貴方が好き。やっと、はっきり言える。」

サガ「ありがとう、私の…葵。」


地面には重なり合う２人の影が長く長く映されていた………。