ロス「馬鹿！　どうしてもっと葵と話し合おうとしなかったんだ！？」

ミロ「アイオロスの言う通りだ！　衛兵との謁見も大事だが、そのまま葵を残していく事がどれほど事態を悪化させるか考えなかったのか！」

サガ「…だが、執務を放り出しては…。」

デス「そうかい、そうかい。至極わかりやすい理屈だ、姉貴の気持ちは執務以下っていう事だ。」


シニカルな笑みを浮かべ、デスマスクはサガを見ている。

だが、その瞳の奥に満ちている感情は誰が見ても一目瞭然だ。


サガ「誰も、そんな事は言っていない！」

デス「言わなくても、態度で充分わかるだろうよ。」


デスマスクは後の事は知るかと言わんばかりに、執務室のドアへ向かう。

ドアノブに手をかけ、少しばかり扉を開けた彼は背中を向けたままサガに言い放った。


デス「…お前なら、姉貴を幸せにしてくれると思った俺が浅はかだったぜ。」

サガ「なっ…///！？」

デス「だが、それもあっけない結果だったな。…興醒めだ、俺は巨蟹宮へ帰る。」

シュラ「おい、デスマスク！」


デスマスクはシュラの呼びかけに答える事もなく、そのまま執務室を出て行った。


ロス「…サガ、執務を大事に思うお前を責めるつもりは毛頭無い。だが、目の前で悩んでいる女性をそのままにしておくのはあんまりじゃないか。かくなる上は、少しでも早く葵を…俺達と出会った時の葵に戻してやってくれ。」

アフロ「そうだよ、サガ。彼女の美しい微笑をデスマスクも見たいのだよ、きっと。そして、何より貴方が彼女の微笑を望んでいると思うのは、私の勘違いかな？」


そんな事は無い、サガ自身が一番望んでいると言っても過言ではない。

あの、心からの微笑を今一度、見たいと願ってやまないのだから。