また別の日、デスマスクは頃合を見計らって執務室のドアをノックした。

中からは若干疲れたようなサガの声が聞こえ、デスマスクは執務室へ入っていく。


デス「よぉ、また残業かい。」

サガ「デスマスク…？　どうしたのだ、勤務時間外に執務室に来るとは珍しいな。明日は聖戦でも起こるのか？」

デス「言うに事欠いて縁起でもねぇ事抜かすな！　…サガ、近頃の姉貴をどう思う？」


デスマスクの問いかけに、サガの筆を動かす手が止まった。

その視線は書類に注がれたままだが、どう見ても書類を読んでいない。


サガ「彼女は優秀だ。だが…、近頃の彼女は表情が硬い気がする。笑顔が…不自然に見えるんだ。ここに来た当初に見せてくれた心からの笑顔ではなくて、作り物の笑顔に見えてしまう。」

デス「…その原因、知ってるか？」

サガ「原因というか、時期は彼女の歓迎会の直後だが…。」

デス「そこまでわかっていながら、どうして原因がわからないんだよ！」

サガ「…お前は知っているのか？」

デス「知ってるも何も、本人に聞いたんだよ。」

サガ「それで、彼女は何と？」

デス「…それを知って、どうする。」

サガ「どうする…と言われても。」


サガが困惑している表情を見せたので、デスマスクも段々イライラしてきた。

他人の事には心を砕けるくせに、どうして自分が関わるとこんなにも鈍感極まりないのか。

いい大人が、まるで思春期を迎えた少年のように見えてしまう。


デス（やってらんねーぜ…。）


何とか２人の間を取り持ってやろうと行動している自分が、バカバカしく思えた。