デス「なぁ～んか、執務室の空気が固いんだよなぁ…。」

シュラ「お前が緩みすぎなのだ。と言いたい所だが、俺もそう思う。」


麗しの宮主が守る双魚宮でのティータイム。

そこに集うのは悪友とお互いを認識している３人だ。


アフロ「おそらく、葵とサガの間で何かあったのだろう。」


アフロディーテは紅茶を淹れる動作も優雅で、２人の客人の前に紅茶と茶請けの菓子を置いた。

そう、執務室の空気が固いというのは、葵もサガも以前に増して仕事に打ち込んでいる事にある。

仕事に打ち込むのは良いが、何かを忘れようとして没頭しているようにも見えるのだ。


デス「ったく…、あの２人は何やってんだか。」

アフロ「おやおや、極悪非道と名高い蟹座殿にしてはよく心配しているね。」

デス「お褒めの言葉、光栄だね。…俺も一応人間だからな、肉親の心配くらいさせて欲しいね。」

シュラ「フン…、明日は大雨かもしれんな？」

アフロ「それは大変だ、温室の外に出してある薔薇の苗を入れておかなくては。」


デスマスクは２人のやり取りを舌打ちして見ていたが、紅茶をチビチビ飲みながら溜息をついた。


デス「ま、十中八九、あの２人は急速にお互いを意識し始めてるな。」

シュラ「そのようだが、あのサガの事だ。それに甘んじるとは思えんな。」

アフロ「しかし、麗しきご婦人の笑顔を曇らせるような事、聖闘士としてあるまじき事だとは思わないか？」


足元に置いてあった薔薇の鉢を手に、アフロディーテは優雅に微笑む。

彼らはサガの内にあった闇を誰より知っているし、あえてその闇に組した。

結果は言うまでもないが、それでも後悔はない。


シュラ「しかし、男と女の間柄についてはお前が聖域で一番得意なところだろう。その腕前、発揮してもらわねばな？」

デス「…上手くいっても、俺にはあまりメリットはねぇな。何せ、あのワーカーホリックが義兄になったりした日にゃ、夜の街に繰り出せやしねぇ；」


デスマスクは溜息をつき、菓子を掴むと口の中に放り込んだ。