「スゥ、スゥ…。」

サガ「眠ったか…。」


ムウがくれた酔い覚ましの薬は睡眠導入の薬効もあるようで、葵はすぐに眠ってしまった。

寝顔があまりに幼く見えて、サガもほのぼのした気持ちになった。


サガ「…私はやはり穢れているよ、葵。君がその事実を知れば、君もきっと私をキレイだなんて言わなくなるさ…。だが、私も男なのだな…。」


葵にキスされた時、本能は拒絶反応を起こさなかった。

むしろ、冷静に受け止めるという反応。


サガ「君もキレイだ、葵。才色兼備とは君の為にある言葉だ…。」


思えば、葵と初めて会った時から彼女をずっと見ていた。

その美しさに目を引かれ、有能さに感心し、時たま見える危なっかしさをハラハラして見守っている。


サガ「…葵、ここでしか言わない。…愛しているよ、初めて会ったその時から。せめて、君を想う事だけは許しておくれ…。」


サガは静かに葵の唇にキスをすると、彼女の部屋から出て行った。


サガ（…ワインの味がする…。）


聖域での宴の夜、ほろ苦く、甘美な香りがサガの心に染み込んでいった………。


～続く～