結局、ムウが酔い覚ましの薬を持ってくる頃には葵が潰れてしまった。


ムウ「けっこう飲んでいましたから、これを飲まないと明日が厳しいはずです。」

サガ「とりあえず、彼女を部屋まで連れて行け。デスマスク。」

デス「お前が連れてけ、サガ。」

サガ「私が？」

デス「姉貴に酒を飲ませた張本人は、何処のどなたでしたっけねぇ？」


デスマスクは満面の笑みを浮かべていた。

その笑みは、シオンすらも恐怖を覚えるほど凶悪な笑顔であった。

しかし、デスマスクの言い分ももっともなため、サガは彼女を横抱きにして部屋に向かい、ちゃんと薬を飲ませろとデスマスクからお役目を仰せつかった。

彼女の部屋は教皇宮の客間を改造したもので、とてもシンプルな部屋だが１人で住むには些か広い所だった。

部屋の奥にあるベッドに葵を寝かせ、水とグラスを枕元に用意すると声をかけた。


サガ「葵、葵…。」

「んぅ…///」


葵は眠りたいのか、寝返りを打ってサガに背を向けた。

サガは仕方がないと溜息をつき、彼女の肩を揺さぶった。


サガ「葵、眠たいのはわかるが、酔い覚ましを飲まないと明日の業務に差し支える…。薬を飲んでから眠りなさい。」


まるで、保護者のようだなと自分を笑いながらもサガは葵に声をかけた。

やがて、サガの声が届いたのか葵がうっすらと目を開ける。


サガ「…っ///！」


潤んだ瞳に上気した肌、少し荒れた呼吸、それはまるで…とサガは思わず想像してしまった。

しかし、そんな事に及ぶ訳にもいかず、サガは勤めて冷静に葵に声をかける。