時間も夜半になり、沙織は寝所に下がって行った。

沙織が居た手前、皆は酒を控えめにしていたのだが居なくなってからはもう酒盛り状態である。

しかも、聖闘士というのは胃腸も人間の規格外らしく、樽ごと無くなっていく。


（これでアルコール中毒にならないのかしら；？）

童虎「どうかしたのか、葵？」

「童虎。いえね、これだけお酒を飲んで翌日に残らないのかしらって思ったの。」

童虎「なぁに、皆弁えておるよ。」

「Σこれで！？」

童虎「はっはっは！　まぁ、限界を超えて飲む奴は明日の朝になっても朝礼に出てこぬよ。」

「わ、笑い事ではありませんよ…；」

シオン「心配するでない、葵よ。いざとなれば童虎が特製の酔い覚ましを皆に配るであろう。そら、そなたも一献。」

「え、でも…私。」

シオン「ん？　酒が苦手か？」

「…苦手といいますか、酒癖が悪いと日本での同僚達が…；」

シオン「安心いたせ。ここに居る者達以上に酒癖の悪い者はおるまい。」

「え？」

サガ「酔った勢いで、必殺技を連発するような事さえしなければ大丈夫だ。」

「必殺技…；」

サガ「そうだ。しかも手加減無しだからタチが悪い。そうなる前に、私か教皇が次元の狭間に放り込むがな。あそこなら、いくら必殺技をかましても被害は出ないから。葵がいくらデスマスクに恐れられていても、そこまで被害を及ぼす事はあるまい？」

「…ありませんね。」

サガ「なら、大丈夫だ。酔えば介抱させてもらうし、暴れたら止めさせてもらうから。今日だけは無礼講だよ。色々あるが、何がいい？」

「…じゃあ、赤ワインを♪」

サガ「わかった、少し待ってくれ。」


しかし、サガはその後で後悔する事になる。

何故、葵が日本の同僚達から酒を飲むなと言われていたのかを…。