Metamorphose
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ミロ「葵…、俺は君を守りたいのに、君を愛したいのに…。」
天蠍宮から微かに見える葵の住まいを見上げるミロ。
その表情は、寂しくて、悲しくて、今にも泣いてしまいそうで…。
聖闘士でなくなれば、彼女も自分を普通の男として受け入れてくれるかもしれないが、聖闘士は自分に課せられた使命であり、それを放棄する事など出来ない。
ミロ「俺は、どうしたらいい? 俺は、どうすれば君の心を癒してあげられるんだ…? 教えてくれよ、葵…!」
積もり積もった愛情を今更無しにできやしない。
一生、この辛い気持ちを抱えていくなんて、それも辛すぎる。
一緒に小鳥の様子を話した時、一緒に花の種を植えた時、一緒に執務室で話した時、全ての想いがこみ上げてきて、ミロの頬を一筋の涙が伝う。
「ミロ様…。」
葵はベッドに座りながら微かに見える天蠍宮を見ていた。
あんなにも優しいお方がどうしてと、今も思ってしまう。
わかっているはずだった、聖闘士はああいう任務もあるのだと。
これからは精一杯理解して、少しでも聖闘士達の役に立とうと思っていたのに。
ダメだった、あの惨劇を思い出してしまって…。
「貴方が聖闘士ではなかったら、こんな事にならなかったかも知れない…。でも、貴方が聖闘士で、私が聖域に生を受けていなければ、出会う事すらなかった…。」
この方となら、あるいは幸せになれるかもしれない。
そう思っていた矢先だった、ミロが罪人を手にかけたと聞いてしまったのは。
瞬間、あの惨劇が脳裏に浮かんできて、その後の事は覚えていない。
気がつけば心配そうに自分を見ていた女官長が居ただけだ。
そして、思う以上に聖闘士に拒絶反応が出ている自分が居て。
(もう無理なのね…。聖域に、アテナに、聖闘士にお仕え出来ない…。でも、もう…。)
葵は部屋に置いてある鳥籠の中を見て、もうすぐ飛べそうな小鳥が自由に出入りできるように扉を開けた。
自分に慣れてしまったのか、小鳥は葵の肩に止まったり指先に止まったりしている。
「貴方は、私の分まで幸せになってね…。」
そう言い残し、マントを被った葵は部屋から出て行った。
その姿を見た者は誰もおらず、ちょうど空が黒く染まり、滝のように雨が降り出していた。
《葵が部屋を抜け出し、行方不明。》
その報せがミロの耳に入ったのは、それから数時間後の話である。
~続く~
天蠍宮から微かに見える葵の住まいを見上げるミロ。
その表情は、寂しくて、悲しくて、今にも泣いてしまいそうで…。
聖闘士でなくなれば、彼女も自分を普通の男として受け入れてくれるかもしれないが、聖闘士は自分に課せられた使命であり、それを放棄する事など出来ない。
ミロ「俺は、どうしたらいい? 俺は、どうすれば君の心を癒してあげられるんだ…? 教えてくれよ、葵…!」
積もり積もった愛情を今更無しにできやしない。
一生、この辛い気持ちを抱えていくなんて、それも辛すぎる。
一緒に小鳥の様子を話した時、一緒に花の種を植えた時、一緒に執務室で話した時、全ての想いがこみ上げてきて、ミロの頬を一筋の涙が伝う。
「ミロ様…。」
葵はベッドに座りながら微かに見える天蠍宮を見ていた。
あんなにも優しいお方がどうしてと、今も思ってしまう。
わかっているはずだった、聖闘士はああいう任務もあるのだと。
これからは精一杯理解して、少しでも聖闘士達の役に立とうと思っていたのに。
ダメだった、あの惨劇を思い出してしまって…。
「貴方が聖闘士ではなかったら、こんな事にならなかったかも知れない…。でも、貴方が聖闘士で、私が聖域に生を受けていなければ、出会う事すらなかった…。」
この方となら、あるいは幸せになれるかもしれない。
そう思っていた矢先だった、ミロが罪人を手にかけたと聞いてしまったのは。
瞬間、あの惨劇が脳裏に浮かんできて、その後の事は覚えていない。
気がつけば心配そうに自分を見ていた女官長が居ただけだ。
そして、思う以上に聖闘士に拒絶反応が出ている自分が居て。
(もう無理なのね…。聖域に、アテナに、聖闘士にお仕え出来ない…。でも、もう…。)
葵は部屋に置いてある鳥籠の中を見て、もうすぐ飛べそうな小鳥が自由に出入りできるように扉を開けた。
自分に慣れてしまったのか、小鳥は葵の肩に止まったり指先に止まったりしている。
「貴方は、私の分まで幸せになってね…。」
そう言い残し、マントを被った葵は部屋から出て行った。
その姿を見た者は誰もおらず、ちょうど空が黒く染まり、滝のように雨が降り出していた。
《葵が部屋を抜け出し、行方不明。》
その報せがミロの耳に入ったのは、それから数時間後の話である。
~続く~