葵はミロに触れられた瞬間、大きな叫び声を出して倒れてしまった。


ミロ「葵、葵！！！」

沙織「誰か、葵さんを医務室へ！」


沙織の声にミロがいち早く反応し、葵を抱き上げた。

そして、そのまま医務室へ駆けて行った。


沙織「一番、一番恐れていた事が…。何て事なの…！」


葵が一番信頼し、打ち解けていたミロが罪人とはいえ人を手にかけた。

その事がよほどショックだったのか、葵は錯乱に近い状態に陥ったようだ。

そして、葵が経験した光景を知った黄金達もショックだったようで、誰も口を開かない。


沙織「葵さんの心の傷が、再び開いてしまった…。それも、以前よりも深まって…。」

シオン「…これでは、聖域に仕え続ける事も困難です…。」

サガ「教皇、葵を聖域から出すと言うのですか！？」

シオン「わからぬ…。だが、最悪の場合はそれこそ記憶を根こそぎ取り除き、聖域から出す他あるまい…！」

カミュ「葵はミロに一番信頼を置き、接し、愛し始めていた…。ミロも然りですが…。このままでは、あの２人が辛い別れをしなくてはいけない…。」

沙織「しばらくは、葵さんの快復経過を見ることにいたしましょう。シオン、私も医務室へ参ります。精神状態も詳しく調べたいのです。」

シオン「御意。」


しかし、葵の意識はとうとうこの日の内に戻らず、目を覚ましても聖闘士に極端な恐怖を抱くため、女官達に付き添われてアテナ神殿にある自室へと戻っていった。

沙織とシオンはどうすればいいのかと、頭を抱えていた。