執務室では、珍しく黄金聖闘士全員が揃っていた。

この頃は、外界の任務に白銀や青銅達も連れて行くようになっていたのだ。

黄金聖闘士達ばかりに負担をかける事もないし、白銀や青銅も立派に任務をこなせる様になれば黄金達の負担も軽減するだろうという沙織の考えでもある。


シオン「そうじゃ、言い忘れておったが…。今日からしばらく執務室付きの女官が休みなのだ。」

童虎「何故じゃ？」

シオン「体調不良で、しばらくの療養の為と女官長から聞いておる。代わりの女官を寄越すというから、執務に影響はないだろう。そろそろ、来る時間だ。」


しばらくすると、執務室のドアをノックする音が聞こえた。

シオンが入室を促すと、遠慮がちに扉が開いた。


「失礼いたします、教皇様。」

シオン「…おぉ。そなたが代理の女官だったのか、葵。」

「はい。至らぬ点が多いと存じますが、何卒ご容赦くださいませ。」

シオン「よいよい。無理を申したのはこちらなのだ。さ、そんな所に立ってないで中へ入るがよい。」

「失礼いたします…。」


他の黄金達もまさか葵が来るとは思っていなかったのか、少々唖然としている。

ミロは不謹慎だが、しばらくは葵と一緒に過ごせるというのが嬉しいと思っていた。


シオン「皆、葵が困っていたらちゃんと助けてやるように。では、葵。早速であるがよいか？」

「はい。」

シオン「実は、そろそろ休憩の時刻なのだ。人数分の茶と茶請けを頼めるか？」

「はい、ご用意させていただきます。しばらく、お待ちくださいませ。」


葵が給湯室に行こうとすると、童虎が待ったをかけた。