数週間後、ギリシャ聖域。

沙織がいつもセスナの離着陸で使っているコロッセオには、黄金聖闘士全員が集っていた。

沙織とその客人が乗っているセスナはもうそろそろ聖域の上空に現れる頃合。

最初、沙織が客人を連れてくると聞いた時は皆が仰天した。

しかも、ただの滞在ではなくてＣＤのＰＶ撮影と収録を兼ねたものだと聞いたら尚更だ。

シオンやサガなどは最初反対していたが、沙織はただならぬ雰囲気で何としてもと懇願してきた。

何か、特殊な事情でもあるのだと知った黄金達は滞在を認めたのだが…。


サガ「しかし、アテナは何を考えておられるのか…。外界の者を滞在、ましてや撮影に招くとは…。聖域始まって以来の事だぞ？」

カノン「今更何を言っても無駄だ、サガよ。アテナとて何かお考えあっての事、その客人もアテナの事情を良く知っているというし、邪悪な存在でもあるまい。それに、少しずつ近代化してきている聖域にも良い刺激になるではないか。」

サガ「そうは言うが、聖域には聖域の規律というものが…。」

カノン「お前の頭はオリハルコン以上に固いな。少々柔らかくせんと、時代に置いていかれるぞ？」

サガ「余計な世話だ。」

カノン「フッ、全くだ…。ん？　どうやら、アテナのお越しらしい。」


カノンが見つめる上空には、セスナの影が見えた。

機体にはグラード財団の文字、そして、アテナ沙織の小宇宙がその内にある。

黄金達はいつものように出迎えの体勢を取り、待ち受けた。