テレビ画面には葵の所属事務所社長が映されている。


社長「葵からは少し前から相談を受けておりました。たくさんのファン、今までお世話になった皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいですとのことです。なお、葵とはすでに所属契約を解除しておりまして、これ以上申し上げることが出来ません。」

記者「社長、直接の原因は例の破局騒動なのでしょうか？」

社長「いいえ、葵はそれが直接の原因とは言っておりません。彼との恋愛は自分を成長させてくれて、むしろ感謝しているとメッセージをもらっています。」

記者「葵さんは今どこにいらっしゃるのですか？」

社長「私どもも詳しくは教えてもらってませんが、海外だそうです。最後に連絡を受けましたのは昨日ですが、当分日本へ帰る予定はありません。」

記者「それでは、撮影中だったセレクトアルバムはどうなるのでしょう？」

社長「予定通りに発売されます。ＰＶも歌も収録は出来ておりますので。そして、売り上げはグラード財団福祉事業部を通じ、日本国内の福祉団体へ寄付される事になっております。」


テレビの中継はまだ続いているが、カノンは居ても立ってもいられない。

リビングを飛び出すと、葵が居るであろう教皇宮へ光速で駆けつけた。

そして、彼女が滞在している部屋にノックもせずに入っていく。


カノン「葵！」

「カノン…。」

カノン「本気か！？　何故、あんな事を！？」

「貴方の傍に…いたいから。、カノンとずっと、ずっと一緒にいたいから。」

カノン「俺と共にある為だけに、全てを…？」

「カノンさえ傍に居てくれれば、私は何も要らない。だから…。」


葵の瞳は既に覚悟を決めた輝きを秘めていた。

後は、俺の覚悟が決まればいい。


カノン「けして、綺麗で平穏な道とは言い切れないぞ？」

「うん。」

カノン「…俺なんかの為に全てを投げ出すとは…。見上げた女だ、お前は。一生離してやらんからな、覚悟しておけ？」

「…はい///！」