沙織「そうですわ、葵さん。」

「何？」

沙織「せっかくですもの、皆さんの前で一曲披露してくださらない？」

「え、歌を？」

沙織「はいｖ」

「でも、音楽は…？」

沙織「あれをご覧になってｖ」


沙織が指差す方には小さな雛壇があり、ピアノが置かれていた。

葵はピアノ演奏にも定評があり、歌を収録する時には自らピアノを伴奏するし、音楽番組でもちゃんと伴奏している。


沙織「皆さんも聴きたくないですか？」

シオン「それは是非とも聴きたいものですな。」

サガ「うむ、挨拶代わりと言っては何だが、是非。」

沙織「ね、葵さん？」

「…沙織ちゃんのお願いなら、断れないな。いいよ、何が聴きたい？」


沙織は少し思案したが、何か浮かんだらしく顔を輝かせる。


沙織「以前、私の屋敷でひいて下さった歌が聴きたいですわ。確か…。」


沙織は歌詞まで覚えていないが、旋律を鼻歌でたどる。

それを聴いて、葵はどの歌なのか検討が付いたらしい。


「いいよ、それにしようか。」

沙織「お願いします。さぁ、皆さんもお聴きになって。葵さんの歌声は本当に素敵ですから！」


沙織もお勧めの歌声となれば、聞き逃す手はない。

皆が椅子を持ち寄り、ピアノの前に陣取る。