神官長がデルポイで神託を受け、教皇アイオロス即位の吉日としたその日が来た。

即位式は聖域で一番大きな黄金専用コロッセオで執り行われる。

アテナを始めとした聖域関係者、海皇ポセイドンを始めとした海界関係者、冥王ハーデスを始めとした冥界関係者がそれぞれ集まった。

皆、正装をして用意されている席へ付く。

神々は豪奢なキトンを纏い、闘士達はその誇りである聖衣、鱗衣、冥衣を纏っている。

厳粛な空気漂うコロッセオの中心、闘技場にはこれまた豪奢な祭壇が設置されていた。

刻限を告げる鐘が鳴り、コロッセオの１２方位に炎が上がる。

それは黄道１２宮を模して灯された炎だ。


海皇「始まるか…。」

冥王「話には聞いていたが、直に見るのは初めてではないか？」

タナ「何しろ、我らが和平を結んだのは初めての事。無理もございませぬ。」

ヒュプ「おや、アテナたちが闘技場に降りるようですぞ？」


黄金の杖を持ち、いつもより豪華に着飾っている沙織。

教皇としての正装を纏い、何時にも増して威厳を示す表情で後に続くシオン。

黄金聖衣を完全装備した黄金聖闘士たちも、１２宮の順でシオンの後に続く。

ちなみに、双子座はサガ。

カノンはシードラゴンとして出席している。

だが、射手座だけがそこにはいない。

彼の出番はもう少し後になるのだから。

祭壇の前に設えてあった玉座に沙織が着席すると、シオンがその脇に立つ。

黄金聖闘士たちは謁見の時と同じく、アテナの玉座の前で偶数宮と奇数宮の２列に分かれる。

全ての配置が整い、沙織が何処までも通るような凛とした声で口上を始めた。