第１３話「教皇アイオロス。」



過去、アテナ同席での教皇即位式はあまり例が無い。

葵が竜の一族・白竜の名前と権限を長である黄竜に返上してから数日後、聖域中に２つの触れが出た。

それは、現教皇シオンが次期教皇アイオロスへ教皇の地位を譲位するという事。

アイオロスの教皇即位と同時に空席になる射手座へ葵が就任するという事である。

聖域では神官たちを筆頭にして、まずは教皇即位式の準備に追われている。

現教皇シオンが教皇位に就任したのは、前聖戦の終戦直後。

その時、童虎以外の者は産まれても居ないし、資料を頼りに右往左往しているようだ。


シオン「やれやれ、アイオロスに教皇位を譲った後は、貴鬼の指導と聖衣の修復三昧といこうかの。ムウには牡羊座のお役目に専念してもらわねば。」

童虎「ふむ、それもよかろうな。ワシも紫龍に天秤座を譲って五老峰で釣り三昧の日々でも過ごしたいものじゃのぅ。」


執務室でも黄金達が日々の執務をこなしながら、来るべき教皇即位式の準備に追われていた。

誰もが待ち望んでいた聖域の英雄アイオロスの教皇即位。

それゆえか皆がウキウキしている。

当のアイオロスといえば、神官に囲まれて式典の手順を叩き込まれている最中らしい。

細かい事を覚えるのが苦手なアイオロスは、間違える毎に飛んでくる神官達の嘆きに、ただただ苦笑いするだけだ。

立ち振る舞いから、即位の口上、果てはアテナからの褒章授与までたくさん覚えなくてはいけない。

沙織は他にも海界と冥界の主要メンバーを式典に招待すると言うものだから、聖域の恥を晒されては困りますと、アイオロスに忠告もしていた。