「僕と戦うんだね？」

雑兵「てめぇがいくら強くても、黄金の方々と戦うよりマシだ！」

「そうか…。ならば来い、風を操るという事がどういう事か、お前らに身をもって教えてやる。」


白竜の周りで静かに風たちがうごめき出した。


雑兵「行くぞ！！！」

雑兵「たかが１人、この人数で行けば！！！」


雑兵たちが向かってくるが、白竜は一笑に付した。


「人数の問題ではないだろう、愚か者どもが。」


白竜が指を少し動かした。

すると、雑兵の１人がおぞましい声を上げて倒れる。


雑兵「ひぎゃああああああっっ！！？？」


どうした事だと他の雑兵たちが振り向くと、悲鳴を上げた者が地面の上でのた打ち回っているではないか。

しかも、そこは血の海と化している。

叫びを上げた雑兵の腕からは大量の血が流れていた。

腕が文字通りに切り裂かれている。


雑兵「貴様、何をした！？」

「言っただろう、僕は風を操る。風を操ると言うのは大気のある所…、その全てが僕の攻撃範囲なんだ。」


白竜はあの少年を蹴った雑兵を睨んだ。


雑兵「ヒィッ！？」

「君だったね、あの子を蹴って…この子達の努力や気持ちを踏みにじるような事を言ったのは。」

雑兵「そ、それは！！」

「彼らを鍛える為に、こんな事をしているとも言ったね？　こんなものは指導とは言えない、むしろ、虐待や拷問に近い。彼らがそのトラウマを抱き、間違った方向へ進んだらお前はどうやって責任を取るつもりだ？」


小さくても純粋で、アテナと地上を守る為と頑張っている子供達。

この薄汚い大人達の影響をモロに受ければ、こいつらの分身のように悪しき心を持って成長しないとも限らない。

子供達の純粋な心を傷つけた事、白竜にはそれが一番許せない。

かつて、自分の心が両親によってズタズタに引き裂かれた時の痛みと同じだから。