一輪の花
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「もう1年経つな、あの実験台が来てから。」
「あぁ、この1年でかなりのデータが集まっている。」
会話をしているのは学者同士で、実験台は葵の事だろう。
「そういえば、あの実験台が持っている十字架見た事あるか?」
「あぁ、母親が持たせてくれた物だろう? メッキもはげてかなり色もくすんでいるようだな。」
「話によれば、実験が終わった後もその十字架を見ながら母親と父親に語りかけているそうだぞ?」
「自分が金でここに売られてきた事を知らないとは、哀れなもんだ。」
「そうだな。父も母も、迎えに来る事はありえないのに。」
会話の声は遠ざかっていったが、葵は愕然としていた。
(パパと、ママが来ない? 葵はお金で売られてきた? 嘘、嘘だよね、パパ、ママ!)
葵は十字架を握り締め、一晩中布団の中で泣き明かした。
その日の夢で見たのは、貧しくても幸せだった…父に遊んでもらい、母に抱きしめられて幸せだったあの頃だった。
「あぁ、この1年でかなりのデータが集まっている。」
会話をしているのは学者同士で、実験台は葵の事だろう。
「そういえば、あの実験台が持っている十字架見た事あるか?」
「あぁ、母親が持たせてくれた物だろう? メッキもはげてかなり色もくすんでいるようだな。」
「話によれば、実験が終わった後もその十字架を見ながら母親と父親に語りかけているそうだぞ?」
「自分が金でここに売られてきた事を知らないとは、哀れなもんだ。」
「そうだな。父も母も、迎えに来る事はありえないのに。」
会話の声は遠ざかっていったが、葵は愕然としていた。
(パパと、ママが来ない? 葵はお金で売られてきた? 嘘、嘘だよね、パパ、ママ!)
葵は十字架を握り締め、一晩中布団の中で泣き明かした。
その日の夢で見たのは、貧しくても幸せだった…父に遊んでもらい、母に抱きしめられて幸せだったあの頃だった。