シオン「黄金の意思がここまでバラバラになるとは…。」

沙織「これでよいのですよ、シオン。」


夜半、沙織はアテナ神殿で執務の残りをシオンとアイオロス、サガと片付けていた。


沙織「たくさんの考えがあるという事は、その分良くなる道があるという事です。それを考えるキッカケをくれたのも白竜でしょう。」

サガ「ですが、少なからず聖域内は混乱しましょう。」

沙織「良き掟や慣習は残し、悪しき掟や慣習は削除すべきでしょう。新しい掟や慣習も場合によっては取り入れなくてはなりませんが、少しずつ馴染んでいけたらと思います。」

ロス「サガ、アテナは今よりも少しでも聖域を良くしようとお考えなんだよ。我々だけの為ではなく、我らが会う事のない未来の教皇、聖闘士、そしてアテナの為に。先人として出来るだけ未来の負担を無くそうとお考えなんだ。」

沙織「幸い、ポセイドンやハーデスとも友好関係を結べた今、考える時間は出来ました。しばらくは大きな戦いも無いでしょうから、今の内に内部を整えておきましょう？　聖域という世界も昔のままではなく、日々進化していくべきだと思うのです。」

サガ「アテナがそう仰るのなら…。」

沙織「サガは、今のままが良いと思いますか？」

サガ「このサガ、二十数年をこの聖域で過ごしてまいりました。それ故、この聖域が変わるという事に若干戸惑いを感じます。」

沙織「そうでしょうね。まずは、小さな所から変えていきましょうね。」


無理に一気にとは言わない、少しずつでいい。

沙織は、アイオロスの言ったようにまだ見ぬ未来の聖域の住人たちの為、出来る事に全力を尽くそうと決意した。

その意思を秘めた目はいつもより輝いていた。