白竜は、自分の手に気を集中させて怪我している場所にかざした。

すると、少しずつ傷が塞がり消えていく。

信じられない光景を沙織たちは見ていた。


サガ「信じられん。あの傷を自らで治すとは…。」

ムウ「聖闘士の中でもコップ座が治癒の役目を担いますが…。」


しかも、小宇宙に似て非なるものでだ。

しばらくすると、傷がほとんど消えてしまった。


「これで、よし。」


フゥと深い息をつき、気を治めた。


沙織「あの、白竜…。」

「お気遣い無く、城戸嬢。礼も謝罪も必要ありません。僕が勝手にやって、勝手に怪我しただけの事です。」

沙織「さっきの能力は？」

「気を使った治癒術です。怪我した部分を刺激し、人に備わる回復能力を瞬時に怪我が治る位まで高めます。」


竜の一族の任務につく時、途中で怪我をする事もあり、その為に身につけた治癒術と言う。

もちろん、自分だけではなくて他人の傷を癒す事も可能だ。


「さてと、計らずともここにさっきの全員が揃った訳だ。どうしますか？　まだ、続きをしますか？」


続きとは先ほどまでの戦闘行為を指すのだろう。

先ほど、自分に向けられていた優しい眼差しとあまりに違うそれに沙織もゾクッとした。

黄金たちも構え、一触即発状態になる。


？「そこまで！」


その声が聞こえた瞬間、白竜と聖闘士たちの間に何かが落ちてきた。

それは巨大な鏡。

その正体を知った白竜は、ハァとため息をつく。


「黄竜、全て見ていたんでしょう？」

黄竜「ホッホッホ。よう暴れたの、白竜よ。」

黒竜「笑い事ではないでしょう、黄竜；」

「黒竜、貴方もか？　黄竜のお世話は貴方の管轄でしょうに。」

黒竜「仕方が無いだろう？　黄竜の御意志には逆らえないよ。」