第５話「風の叫び。」



黄竜との通信を終えた沙織は、ため息をついて玉座に座りなおす。

彼女は自分の見識の狭さを恥じていた。

アテナとしての自分は何と傲慢であったのか、人１人の運命を聖衣の意思だけで決定してしまう安直な自分が情けない。

今仕えてくれる聖闘士たちの中にも、もしかしたら同じ思いを持っている者も居るかもしれない。

そう思うと、軽率であったと恥じるばかりで。

誠意を持って白竜ともう一度話したい。


沙織「もう一度、白竜と話さねば。謝罪もしないと。」


聖闘士たちだけに任せては置けない。

いや、任せっきりでは話にならない。

自分が率先して行動を起こさねば、今までとなんら変わらない。

これからは、自らを聖闘士全員への模範としなければ。

ニケの杖を持って玉座から立った時、沙織は聖域の外れの方で大きな小宇宙を感じた。

そして、子供の泣き声も聞こえたような気がした。


沙織「これは、白竜…？　急がねば。」


沙織は杖に小宇宙をこめると、一気に目的地へと瞬間移動した。