白竜は窓から出て、中庭を突っ切り、最初にやってきた道の方を目指した。

しかし、近づくに連れてあの連中の気配が濃くなり、足を止める。


「うーん、出口を封じられたか。」


白竜の姿を見つけた黄金聖闘士たちが、駆けつけてくる。

白竜は捕まってたまるかと、踵を返した。

しかし、その先は断崖絶壁の崖で高さにして数百メートル。

無事に着地できたら聖域を取り囲む森に紛れて、聖域から出る事も可能だろう。

しかし、ところどころに尖った岩が突き出て、そこに落下すればそれこそ痛いではすまない。


「前門の虎、後門の狼か…。」


まさに崖っぷちに追い込まれ、白竜は黄金聖闘士たちに囲まれる。


ロス「逃げ場は無いぞ、白竜。」

シオン「命までは取らぬ、おとなしく投降せい。慈悲深きアテナも今までの無礼をお許しになろう。」


しかし、白竜は無言で立ち尽くしているだけ。


リア「何とか言え、白竜！」

ミロ「降伏か死か？　お前はどちらを選ぶのだ。」

カミュ「我らとて、これ以上手荒な真似はしたくない。」

アル「五体満足のうち、投降するのもまた勇気だ。」


白竜はため息をつく。


「貴方たちは、何か勘違いしている。」

サガ「何？」

「僕がこの状況をどう捉えているのか。」

デス「絶体絶命のピンチだろ、どう見ても。」

「違います。絶好のチャンスですよ、このシーンは。」

ムウ「強がりはおよしなさい。」

「強がりではありません。僕には、いくつか興味というか…チャレンジしたい事がありましてね。」


白竜はフンワリ笑う。

そして、指を３本立てる。


「３。」

シュラ「何をするつもりだ？」

「２。」

童虎「カウントを取っておる…？」

「１。」

アフロ「まさかっ！！」

「バンジー！」

全員「「馬鹿な！！！」」


次の瞬間、白竜はその崖から命綱無しのバンジージャンプに身を投じた。