白竜の手にはまたしても苦無が握られている。

しかも、今回は両手に。


シャカ「攻めに転じるか？」

「あくまで、逃走用の攻めと言っておきましょう。」

シャカ「屁理屈を。」

「なんとでも。」


白竜は無数の苦無をシャカめがけて投げつける。


シャカ「この私にこの程度の攻撃が通用するわけがあるまい！　カーン！！」


シャカの周りに金色の防御壁が瞬時に構成され、彼の身を覆い守った。


「これが、小宇宙のなせる技ですか？」

シャカ「そうだ。防御だけでなく、攻撃もできる。」

「神秘的ですね、小宇宙とは。」

シャカ「さもあらん。生命の根源に誰もが持つ小宇宙、貴様にもあろう。」

「僕は小宇宙なんて使えませんよ。」

シャカ「そろそろ、他の者も来るだろう。降伏ならば今のうちだ。」

「困りましたね。」


シャカの背後から、黄金聖闘士たちが見えた。


ムウ「シャカ、無事ですか！？」

シャカ「問題ない。」

アフロ「またしても奇怪な場所に…；」

ムウ「白竜、観念なさい。直接攻撃系は通用しないとわかっても、精神系の攻撃や、私のように超能力系の力を持つ者がまだいます。不本意でしょうが、投降なさい。」

「確かに、勝ち目はありませんね。」


白竜は天井からスルリと落下してきた。

しかし、地面に着地した瞬間、その身は窓の方へ瞬時に移動した。


「この場合は逃げるが勝ち、という事ですね。壁をぶち抜いて外へ逃げる事も可能でしたが、この建物に罪は無いし、相当貴重な文化遺産でしょうから。幸い、この窓から出られそうですので、失礼！」


白竜は軽い身のこなしで窓の外で逃げおおせた。


カノン「おのれ、逃がすか！　教皇宮から降りる場所は双魚宮へ降りる道のみ！　先回りするぞ！」

全員「「おう！」」