眩い光、何か大いなるものに包まれる感覚。

アオイはそれに気付いて目を開けた。


「ここは…。」


そこはどうやら山の頂上らしい。

眼下には雲が見え、相当高い場所である事が確認できる。

しかし、自分が住まっていた地域にこんな場所は無かった。


「空間転移に巻き込まれたか…。厄介なことになった…。」


周りを見渡してもドラゴンの王はいない。

それに止めを刺した記憶もある。

これで、あの国におけるモンスターの脅威も幾分か和らぐはずだ。


「さて、ここがどこかを確かめねばな…。」


周りには古代遺跡群らしき建物があり、相当歴史の古い地域である事は確かだ。

ここは頂上であるから、この地域でも特別な場所である事はすぐにわかった。

それを示すような巨大な像も立っている。

まるで、乙女のような巨大な像。


「女神、なのか？」


気品溢れる像からは、気高いものが感じられる。

他に何か無いものかと周りを見渡す。

像の立っている崖の下には、いくつもの神殿が見えた。

神殿と神殿の間には長い階段があり、それを歩かないと他の神殿には行き着けない事もわかった。


「私の居た国の近隣諸国には、こんな場所は無かったはずだが…。相当遠くに飛ばされたらしいな；」


さて、どうしたものかと思案に耽っていると後ろから足音が聞こえてきた。

ここの住人だろうかと思い振り向くと、アオイは呆気にとられる。