そして、それから夕方までシュラは葵の気付かぬところで文字通り孤軍奮闘していた。

葵のお気に入りの店でランチしていると、葵が少し料理を分けてくれた。

トマトソースの料理だったので安心していたが、いつの間にかトマトソースが香辛料の暴君こと、ハバネロソースになっていた。

それこそ、火を噴きそうな感覚に陥った。

しかし、ここで噴出せば葵の気分を害すると思い、根性で食べきった。

その後、生活用品を買い溜めしたいと言うので付いて行った。

たくさん買い込んだ物を両手に抱えて前が見えない状態の時、急に全身金縛りになってしまったのだ。

動けなくなったシュラに葵が近づくと、急に束縛が解かれて倒れそうになった。

ここで倒れたら葵の買った物が壊れてしまうと思い、シュラは自分の身を素早く下敷きにして、買った物に損害を与えなかった。

買い物が終わり、そろそろ帰ろうという時間には、シュラは疲れ果てていた。


「シュラ、大丈夫？」

シュラ「あ、あぁ。久々に人の多い所に来てしまって、人酔いしたようなもんだ；」

「じゃあ、聖域に帰ろうか。」

シュラ「あぁ。（待っていろ、あいつら。１人残さず三枚に下ろしてくれる！！！）」


笑顔の下で、シュラは恐ろしいほどの怒りを秘めていた。

今なら、葵の域まで聖剣のレベルが上がっているかもしれない。


「帰ろう、私たちの家へ―――。」


葵がそう言った瞬間、２人の姿は日本から消えた―――。