「まったく、そんな事に知恵を使って何とします！　貴方が司るは良き知恵ですよ！？　今回は悪知恵を使った事お分かりですか！？」


主である沙織に向かい、葵は正々堂々と説教を始めた。

沙織もションボリしてそれを聞いて、「はい」とか「ごめんなさい」を繰り返していた。

黄金聖闘士たちもやれやれとそれを聞いていた。

やがて説教が終わると、沙織はアテナ神殿へ帰って行った。

じゃあ、俺たちも解散だと言わんばかりに謁見の間から出ようとした黄金たち。

しかし、開かれていた扉が勢いよく勝手に閉まった。


ムウ「これはサイコキネシス？」

カノン「教皇。俺たちに明日は無いかもしれません；」

シオン「カノン、何をそんなに怯えておる？」


扉の前で立ち往生する黄金聖闘士たち。


「アテナへのお説教は済んだ。が…お前たちへの説教は済んでないぞ？」


葵はニッコリと笑っていた。

沙織に向けた表情と寸分違わずに。


カノン「あぁ、やはり…（滝涙）」

サガ「カノン？」

カノン「サガよ…、次に生まれ変わってまた双子になったら、もう少し仲良くやろうぜ。」

リア「カノン、何だその遺言めいた言葉は？」


葵は少しずつ距離を詰める。


「シュラ、アルデバラン。お前らは下がってろ。」

アル「あ、あぁ…；」

シュラ「葵、俺もやろう。」

「いや、お前はもう充分に役目を果している。大儀だった。」