最強の姫君、御剣葵はスパルタ指導でも有名だが、修行以外では案外気さくな人物である。

意外と宴好きで、何かあれば誰かの宮になだれ込むお祭り好きだから。

現世においては１８歳。

人間が一番輝かしい時期。（←教皇シオン談）

そんな葵の後継者であるシュラは、他の黄金聖闘士たちより葵と過ごす時間は格段に多かった。

葵に他意は無い。

シュラは自分の後継者だから教えたい事、叩き込みたい事は山のようにあるのだから。

一方のシュラも葵を山羊座の師と仰ぎ、心身共に彼女の跡目に相応しい山羊座の聖闘士になれるよう、日々努力していた。

だが、シュラもやはり男。

師である葵に、いつしか淡い想いを抱いていた。

そして、いつかは自分だけの葵になってほしいとさえ望んでいる。

だが、ライバルは多い、多すぎる。

聖域においては黄金聖闘士やシオン、冥界においては三巨頭、双子神、よりによって冥王ハーデス。

海界においては七将軍（実質６人だけど）、海皇ポセイドン。

聖闘士や冥闘士、海闘士ならまだしも。

ドサクサに紛れて神までちゃっかり葵に目をつけている。

ハッキリ言って、やりにくく、始末に負えないややこしさに展開していた。

葵自身が誰か特定の者を想っていれば、講じる手段もあるのだが。

葵はこういう関係には超が付く鈍感なので、期待するだけ無理、無茶、無駄だ。

そんな曖昧な日々を悶々と過ごしていたシュラに、ある出来事が降ってかかった。