真夏の夜の夢

沙織「貴方がたも世界を守る聖闘士とはいえ、人の子。時には年相応の羽目を外したい衝動もありましょう? ですので、この旅行に限り、健全である事を条件にお姉さまと好きに過ごしなさい。」

全員「「アテナッッッ!!!(滝涙)」」


この時ばかりは、デスマスクさえも彼女を崇拝する気持ちになった。

健全である事が厄介だが、それでも関係を深めるにはもってこい、バッチ来いな環境だ。


沙織「お話はこれでおしまい。さぁ、バスに乗りましょう?」

全員「「はっ!」」


先ほどまで半ゾンビのように死にかけていた連中は、我先にとバスに乗り込んでいく。

それを後から見送り、沙織はほくそ笑んだ。


沙織(お姉さまが良いと言えばの話ですけどね…♪)


一方、[#dn=1#]の席は辰巳から2つ後ろの座席。

我先にとそこに陣取ろうと思った黄金たちだったが、そこには何やら札が置かれていた。


『アテナ』


と、ギリシャ語で書かれたものだった。


シオン「こ、これは?」

辰巳「お嬢様が乗り物酔いすれば迷惑をかけるとおっしゃってな。自らその席を所望されたのだ。隣は[#dn=1#]が良いともおっしゃった。」


この札を取って自分が座れば、アテナから大いなる怒りを買うことは必至。

ならば、[#dn=1#]の後や前を取って、少しでもお近づきになるしかない!!


ミロ「おっしゃ、この席取り!! って、凍ってるし!?」

カミュ「そこは私の席だ。」

シャカ「アルデバラン、そこをどきたまえ。」

アル「な、何故だ!」

ムウ「貴方が座ると座席が2つ要るじゃありませんか。1人で2人分の大きさなんですからね。」

アル「な…!!(グサッ!!)」


血盟の同志たちのあまりに幼稚な騒ぎに、ちゃんと座席が決まったのはかれこれ20分後だった―――。

もちろん、[#dn=1#]の鉄拳制裁とアテナのニケ制裁があったのは言うまでも無い。
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