真夏の夜の夢

翌日、夜。

アテナ神殿の最奥の部屋の鏡の間で、またしても3神が会見を行っていた。


沙織「今回の旅行はなかなか楽しゅうございましたね。」

冥王「今度もまた、このような機会を持ちたいものよな。」

海皇「悪くない。」

沙織「では、日本の屋台めぐりなんていかが? 趣向を凝らして御用意いたしますわよ。」

海皇「それはよいな。景品は[#dn=1#]を1日独占できる権利などどうだ?」

冥王「良い考えだ。アテナ、いかがかな?」

沙織「まぁ、お姉さまを独占していかがなさるおつもりかしら? でも、面白そうですわね。さっそく、思案してみますわ ところで、今回のお姉さまからのお土産は何でしたか?」


そういわれ、ハーデスとポセイドンは懐からあるものを取り出した。


2人「「これだ。」」


2人が見せたものは、キーホルダー。

表面にはあの島の名前が彫られていて、裏面には旅行の日付と持ち主の名前、そして、[#dn=1#]の名前が彫られていた。

これは、あの時間の無い旅行の中、[#dn=1#]が売店の施設を借り、自分で字を彫ったのだという。

神からすればちっぽけな物かもしれないが、[#dn=1#]の心が篭っているという事もあり、肌身離さず持っているのだという。

もちろん、双子神、海闘士、テティス、冥闘士、パンドラ、聖闘士も同じ物を持っている。

自由に出来る所持金が少ない中、自分に出来る最大限の土産を[#dn=1#]は皆に平等に配したのだ。

そんな優しい心遣いを皆知っている。

だから、そんな[#dn=1#]を皆が愛している。

その想いだけは、あの無人島のように白昼夢ではないようにと、皆祈っている―――。

真夏の夜の夢で無いように。


END

2024年8月22日加筆修正
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