真夏の夜の夢

沙織「あれはお姉さまですわね。」


一行の前に、怪物の群れが見えてきた。

それに囲まれて[#dn=1#]は小宇宙を高めていた。

群れは自分たちに見向きもせず、一斉に[#dn=1#]へかかっていく。


「フフフっ、かかってこい!! この有象無象どもが!!! 我が聖剣、思う存分喰らって往生しやがれ!!!」

『ダブル・フランベルク!!!』


普段は片手使用のフランベルクだが、両手でそれを放つ。

威力が弱まるどころか、倍以上になって化け物たちを切り裂き、焼き尽くしていく。


『聖剣乱舞!!』


次々と必殺技を繰り出す。

しかも、その威力は今までに無いほどのもの。

いかに普段手加減をしてくれているのかわかるほどだ。


シオン「あぁなっては、[#dn=1#]は止められん。自動的に収まるのを待つしかあるまいて。」

童虎「そうじゃの。怪物どもは[#dn=1#]に任せておけば間違いあるまい。アテナ、我々は寝床を確保してまいります。船から降ろした荷の中にテントがいくつかございましたゆえ、それを組み立てておきます。」


2人はそう言うと、元来た道を引き返していった。


沙織「私たちはどうします? パンドラ、テティス。」

パン「ここに居ても出来る事はあるまい。」

テテ「私たちは夕餉の支度でもいたしましょう?」

沙織「そういたしましょう。この人数では早めに準備しておかねば、追いつきませんもの。」


女性陣の言葉にハッとした男たちは、自分も普段のストレスを発散するぞと言って[#dn=1#]の元へ加勢に行く者、命が惜しいからキャンプの準備でもしようと言う者に分かれていった。

島では、しばらく[#dn=1#]の楽しげな声が収まらずに居たという―――。
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