真夏の夜の夢

沙織は[#dn=1#]を誰にも渡したくなくて、こういう計画を立てた。

[#dn=1#]はもてる、半端じゃなくもてる。

老若男女、人間だけでなく神にももてる。

それは沙織においても例外ではなく、沙織は[#dn=1#]を自分だけのお姉さまにしたかったのだ。

手っ取り早いのは、ライバル全てをニケ投げで成敗すればいいのだが、さすがに三界の神、闘士を全滅させるのは得策ではない。

では、どうするか?

お互いに自滅しあってくれれば良いと思い立ったのだ。

この場にいる者は皆[#dn=1#]に好意を寄せていて、何としても彼女とお近づきになりたいと願う者ばかり。

そんな者たちが何十人も同じ場所に集えば、足の引っ張り合いは必至。

その内、[#dn=1#]にも直接迫る者も居るだろうから、そいつらは問答無用で聖剣の錆になるだろう。

自分はただ、[#dn=1#]の傍にベッタリ引っ付いて害虫を寄せ付けず待って居れば良い。

しかも、四季折々にこういう事を計画していけば、自ずとライバルどもは減っていく。


沙織(ウフフフフ、私の英知を用いた計画。例え主神ゼウスであろうとも見抜けはしませんことよ!!!)


沙織の黒小宇宙は確実に彼女の心に根付いていた。


「アテナ、これからいかがなさいますか?」

沙織「そうですわね。まずは今日の寝どころを確保しましょう。」

デス「賭けてもいいが、このままキャンプしたら恐竜どもの下敷きになっちまうぞ;」

ミー「そうですねぇ。私たちだけならまだしも、女性陣を煎餅のようにされてはかないませんからね;」

バイ「この島に居る怪物どもを殲滅するのが先決、ということでしょうか?」

ルネ「そうでしょうね。こういうことなら、ファラオに任せれば良いでしょう。」

ファ「何故私なのだ?」

イオ「君のペットと同種みたいだから、君に懐くんじゃないのか?」

ファ「私のケルベロスをこのような怪物と一緒にしないでくれ!」

カノン「ケルベロスも怪物だろうが;」


どうするべきかとシオンが考えていると、恐ろしいものが視界に入った。


シオン「…[#dn=1#]???」


[#dn=1#]がなにやら準備体操に入っているのだ。

しかも、羽織っていたサマーセーターを脱ぎ捨て、ノースリーブシャツと短パン姿になっている。

しかも、凄く楽しそうなのだ。


童虎「どうしたのじゃ、シオン?」

シオン「あぁ…、あれを見てみい。」

童虎(サタンじゃ~~~!!)


同期の桜であるシオンと童虎は慌てて[#dn=1#]を止めようとしている。


シオン「[#dn=1#]、そなたはアテナやパンドラ殿をお守りいたせ!」

童虎「そうじゃ! 女性方をお守りしておれ! 島の怪物は我らが成敗してくるゆえ!!」


しかし、そんな2人の言葉も右から入って左へ筒抜け状態。


「シオン、童虎! アテナやパンドラを頼んだぞ!」

シオン「それはワシらの台詞じゃ!」

「久々に大暴れしてくる!」

童虎「お前はいつでも暴れておろうが!」

「よっしゃ! アテナ、行って参ります!」

沙織「お怪我の無きように、お姉さま。」

「御意!」


[#dn=1#]はあっという間に奥地の方へ爆走していった。
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