真夏の夜の夢

一方の男風呂は、血の大瀑布ならぬ血の池地獄と化していた。

最初にノックダウンした連中は愚か、経験豊かな連中までリアルに想像してしまい、男たちは湯船にプカプカ浮きながら鼻血を垂れ流していた。

それでも何とか留まっていた者も、[#dn=1#]の甘い声にやられて、とうとう全滅してしまったのだ。


冥王「フッ、や、やるな…。アテナ。」

海皇「余としたことが、鼻血で卒倒するなど…///」

タナ「ハーデス様、この血の池地獄いかがなさいますか?」

冥王「このままでは、賠償金やら何やらふんだくられそうだな; 元に戻しておかねば。」


かろうじて動ける神ズは人間たちを一旦湯船から出し、水を清め、冷静さを取り戻して再び入浴した。

壁の向こうで全てを知っていた沙織は、キラーンと目を光らせた。


沙織(ウフフフ、殿方たちはますますお姉さまのことを気にし出しましたわね。)


女性陣も入浴を済ませ、マッサージを受けてから風呂を出た。


「あれ、浴衣だ。」

沙織「せっかくですので、日本の浴衣を御用意しました。」

パン「ほぅ。これは日本の伝統衣装なのか。何だか、足元がスースーするな;」

テテ「肌蹴ないようにしなくては;」


表に出ると、風呂場の前にあるサロンで男性陣も浴衣姿で寛いでいる。

見れば、皆風呂上りのというには過剰なほど水分補給していた。


「おい、そんなに温泉は熱かったか?」


[#dn=1#]の声がかかると、皆ギクゥと肩を震わせる。


「そんなに飲んだら腹を壊しやしないかい?」

シル「いっ、いや///(む、胸に視線が行ってしまう…!)」

テテ「まぁ、七将軍の皆さまも? 湯あたりでもなさいましたか?」

ソレ「えっ、えぇ。まぁ///(確かに綺麗な足をしているとは思うが/// あ、足に、視線が行ってしまう///)」

パン「三巨頭も湯あたりなのか? 薬でも進ぜようか?」

アイコ「いえっ、水分を取ればこれくらい平気です///」

ミー「そうですとも。三巨頭が湯あたりで倒れたとあっては冥界の恥でございますからね///」

ラダ「お気遣いありがとうございます///(確かに、パンドラ様は色が白く、美しいとは思うが///)」


男性陣のモジモジした態度を見て、沙織は1人で喜んでいた。


沙織(ウフフっ、見た目はゴツイ集まりですが、中身は本当に思春期のようにウブですわ♪)


アテナの大いなる(悪)知恵により、性的な刺激を受けた男性陣はその晩、あまりに悶々としてしまい、揃って寝不足になってしまった事は言うまでもないだろう。

かくして、旅行第1日目は波乱の幕引きとなった―――。


~続く~
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