そして、翌朝―――。

青銅たちは訓練用のコロッセオに入る。

すると観覧席には黄金聖闘士たち、教皇シオン、そして女神アテナまでもその場に揃っていた。


星矢「沙織さんまでいるなんて、どうしたんだよ？」

沙織「今日は貴方がたに稽古をつけてくださる特別指南役をお呼びしております。」

氷河「特別指南役？　黄金聖闘士ではないのですか？」

沙織「えぇ。さぁ、お入りください！」


青銅たちが入ってきたのと向かい側の入口から、１つの人影が見えた。


紫龍「バカな、あれは！？」

一輝「昨日、ここにいた女ではないか！？」


訓練服に身を包み、長い髪を結わえた女が現れた。


氷河「アテナ、これは一体どういうことですか？　この女性は！？」

沙織「今まで私を守ってくれた貴方たちに言う台詞ではないのでしょうけど、ハッキリと申し上げます。貴方たちが５人同時にかかっていっても、彼女には拳１つ入れる事は叶わないでしょう。」

星矢「何だって！？　冗談きつすぎるぜ、沙織さん！」

沙織「冗談ではありませんよ、星矢。貴方たちも昨日、ここで見たはずです。ここに居る黄金聖闘士たちがどうなっていたかを。」


昨日の黄金聖闘士たちはボロボロだった。

口では最弱だと言っていたデスマスクだって、本当は強いヤツという事くらいわかっている。


「さぁて、覚悟はいいかな？　青銅諸君。」


葵はとても楽しそうに指を鳴らし始めた。

それを見た黄金たちは心から青銅たちの無事を願うばかり。

こんなにも嬉々とした葵がいざ稽古をつけ始めたら、目の前は阿鼻叫喚の地獄絵図間違いなしだろう。

後は、青銅たちが余計な事に突っ込みを入れず、葵をキレさせない事を祈るのみ。