青銅「「え…；」」


確かに手合いをしていたのは黄金聖闘士たちだ。

だが、彼らはボロボロになっていた。

しかも、最強とまで云われている、あのサガやアイオロスまでも。


「まだまだ、休みなどやらんぞ？　ほら、立て立て！」


１人の少女が黄金聖闘士たちに激を飛ばしている。

聖衣完全装備の黄金聖闘士に対し、どこぞの体育中の女子高生のようにＴシャツ、ハーフパンツ姿だ。


星矢「あれ、どういう場面だと思う？」

瞬「言いたいのは山々だけど、それは黄金聖闘士たちに失礼だと思うよ；」

氷河「信じられん、我が師カミュが…；」

紫龍「我が大恩ある老師が……；」

一輝「女の色香に惑わされ、地に這いつくばっているなど笑止千万！」

瞬「兄さん、そんなにハッキリ言わなくても；」


青銅たちがざわついている事に気がついた葵は、黄金聖闘士たちに振り向いて今日の稽古はここまでと言い渡す。


「そこにいるのは青銅聖闘士？」

星矢「俺たちを知ってるのかよ？」

「アテナからお伺いしているよ。私はこれで引き上げるから、積もった話でもするんだね。」

瞬「待って。貴女は誰なんですか？」

「私？　…通りすがりの道場破りです。」

青銅「「嘘つけ！！！」」


しかし、葵はその場からスタコラサッサと逃げ果せたのだった。

見たからに不審人物だったが、青銅たちは未だ満足に起き上がれない黄金たちの所へ駆け寄る。


氷河「カミュ！」

カミュ「ひ、氷河か。情けない所を見せてしまったな…。」

紫龍「老師、シュラ！　貴方たちがこのような事になるなんてっ！」

童虎「ふっ、わしもそろそろ歳かのぅ…！」

シュラ「我らより上手でいらっしゃるのに、御冗談をっ…！」

星矢「黄金聖闘士ともあろうあんたたちが、あの怪しげな女の道場破りにボロボロにされるなんて、冗談きつすぎるぜ！？」

サガ「ふっ、そうだな…。」

カノン「知らん方が幸せな事も世の中にはあるのだ、青銅よ…。」

一輝「シャカ、貴様ともあろう者が何たる醜態だ。」

瞬「そうだよ！　貴方がこんなにやられてしまうなんて！」

シャカ「私とて不本意極まりない。だが、これは致し方ない事なのだ…！」


いくら聞いても言葉を濁すだけの黄金聖闘士たち。

兵士や神官、女官たちを捕まえては聞いてみるものの、誰もがその話題を出すと同時に逃げ出す始末。

そして、アテナも答えてはくれなかった―――。