冥界と海界への親善大使として就任した、『最強の姫君』こと御剣葵。

大使の仕事以外では黄金聖闘士たちを鍛えるという、（葵だけが一方的に）楽しい毎日を過ごしていた。

そんなある日、葵と黄金聖闘士、教皇シオンはアテナ沙織に呼び出されて教皇の間へ揃った。


「青銅聖闘士たちが？」

沙織「えぇ。日本ではそろそろ春休みに入りますので、聖域で黄金聖闘士たちに指南をして頂きたいそうです。」

サガ「それは感心な事です。」


葵は先の聖戦の事などつぶさに聞き及んでいる為、位は聖闘士で最下位でありながら、実力は黄金聖闘士を凌ぐであろうという青銅たちに会うのが楽しみだった。


「せっかくだから、お前たちが青銅たちの望みを叶えてやればいいよ。その間、私は見学させてもらおう。」

沙織「あ、お姉様にも青銅たちへ稽古をつけてほしいのです。もちろん、普段どおりに黄金たちにも稽古をつけてくださいませ。」

「はい？」

沙織「もちろん、黄金たちが青銅たちを指南しても何ら問題はありませんわ。ですが、せっかくですもの。お姉様にもその青銅たちを見ていただきたいし、青銅たちにもお姉様を見てもらいたいんですのｖ」

「しかし、私は彼らと面識も無いのです。もし、見ず知らずの私が黄金たちと稽古している時、メタクソにしている所を見せては、この黄金たちのプライドがズタボロになりますよ？」

沙織「あえてそれを見せ、油断している彼らを思う存分、鍛えてください。」

「アテナ；？？？」

沙織「彼らはここに居る黄金聖闘士たちの後継者と目されています。今のうちからどんな事にも立ち向かえる、鋼の精神を養っておかなければと思いまして。」


ニコニコ笑う沙織の小宇宙が、黒小宇宙に見えてきた葵以下黄金聖闘士たち。

それに逆らうような事、いくら葵でもする訳が無く。

秘密にしていた方が面白いからと、葵の正体は彼女自身が明かすまでは極秘という触れが、その日の内に聖域中へ広まった―――。