プスプスと燃えカスになりかかっている双子にヒーリングを施すムウとシャカ。

一方の葵はあっけらかんとして周りを見る。

次なる獲物…、もとい標的……じゃなかった、指導対象を探している。


「シュラ、来い！」

シュラ「フッ、望むところだ。」


こうしてシュラとの手合いに入ったのだが、外野の黄金たちは葵の異変に気付いていた。

それは、先ほどまで双子たちとの戦闘を見ていたシュラも感じるほどの違和感。

いつもの集中力が欠けている。

戦闘訓練の際は集中しきっていないと、最悪の場合は命に関わる。

嬉々としているように見えるが、聖闘士同士の訓練は結構デンジャラスなのだ。


ムウ「一体、どうしたのでしょう？　葵らしくない。」

シャカ「ここ数日、ずっとあの様子なのだが。」


ヒーリングもそこそこに（ヒドっ！）、ムウとシャカも葵とシュラの手合いの様子を見る。

しばらくすると、シュラが一瞬の隙を付いて小宇宙を手刀に込めた。


シュラ『エクスカリバー！！』


いつもなら、同じエクスカリバーを放って相殺するか、ひらりと避ける。

しかし……。


シュラ「∑！？　危ない！　避けろ、葵！！」

「え？　∑うをっ！！」


いつもはキッとした目つきで望んでいる手合い中なのに、彼女の目はボンヤリとしている。

シュラの呼び声に葵は反応し、危うく直撃を免れた。


「あっぶな～～～；」

シュラ「何をしているのだ、葵！！　今は手合い中なのだぞ、何の他所事を考えている！！」

リア「２人とも無事か！」

ミロ「葵、シュラ！」


皆が集まって２人に大丈夫かと聞く。


「私は大丈夫だ。」

シュラ「俺もだ。」


２人に何事もなくホッとするが、皆の意識は葵に向いていた。


カミュ「葵、手合い中にボーっとしては命に関わると、貴女が一番知っているだろう？　一体どうしたのだ。」

「何、大した事は無い。この頃、寝不足でなぁ；　いや、本当にすまなかった。」

アフロ「確かに、肌がちょっと荒れ気味だね。後で私特性の肌水を贈らせてもらうよ。」

「心配させてすまない、カミュ。アフロディーテも。」