破廉恥騒動も収まりかけた頃、アイアコスが隣に来た。


アイコ「葵、隣いい？」

「アイアコス、他の２人はどうした。」


アイアコスはため息ついて指を指す。

すると、葵も苦笑いをこぼすしかなかった。

ラダマンティスはウィスキーをちびちびやりながら、日々の執務の愚痴をこぼしていた。

内容といえば、三巨頭の他の２人が執務をサボりがちで、ツケが全て自分に回ってくる事への不平不満だった。

その聞き役は、最も悟りに近い男シャカ。

意外な組み合わせだが、シャカも当り障りの無い返答をしては、仏の道への入信をそれとなく匂わせている。

ミーノスは男どもの相手をする趣味は無いらしく、テティスと一緒に話をしていた。

何を話しているのかは非常に興味はあるが、テティスも楽しそうにミーノスと話をしているので悪い内容ではないのだろう。

意外な組み合わせではあるが、自分の居ない所で冥界と海界が親密になりつつあるのだと安心している。


アイコ「俺１人だから、葵の所に来たのさ。」

「そうなのか。ハーデスも随分長い間聖域へ留まってもらった。冥界にも迷惑をかけてしまったな。」

アイコ「それは言いっこ無しだよ、葵。困った時はお互い様っていう言葉があるじゃないか。」


アイアコスは人懐っこい笑顔を見せてくれた。

この表情からは、とても冥界の亡者を裁く重鎮、三巨頭の１人には見えない。


アイコ「それに、俺だってカノンたちみたいに葵を助けに行きたかったよ。」

「どうしてだ？　危険な事だって、アテナも言っていたが。」

アイコ「だって、俺…///　葵の事がす…、グェッッ！？」


アイアコスはいきなりエビゾリになった。


「アイアコス。」

アイコ「か、体が、急に…？　ミ、ミーノスぅ～～～！！！」

ミー「おや、どうしましたか。アイアコス。」

アイコ「これ、お前のコズミックマリオネーションだろうがぁ！！！」

ミー「フッフッフ、私の目が黒いうちは、甘い告白なんてさせませんよ、アイアコスｖ」

アイコ「何だよ、その最後の『v』はぁあああ！」

ミー「まぁまぁ。後はゆっくりと庭でお話しましょうかｖ」


エビゾリのままのアイアコスと、楽しげに彼を引き摺っていくミーノスを葵は呆然として見送った。


「何だったんだ、一体？」