教皇宮の中庭、そこには既にポセイドンも来ていた。


沙織「お姉さまは。」

冥王「今日の処置は終了した。葵の周りに体から小宇宙を放出させぬよう、漏れ出しても、体の中に循環するように術も施してまいった。」

海皇「それでも万端の処置ではなく、あくまでも応急処置だ。」

沙織「そうですか。でも、辛うじて時間稼ぎにはなりました。」

冥王「アテナ、葵の事でそなたに聞きたい事がある。ポセイドンには既に話した事ではあるが。」

沙織「？　何でしょう。」

冥王「単刀直入に問う。葵は一体何者だ？」

沙織「質問の意味がわかりかねますが…。」

海皇「ハーデス、単刀直入すぎる。アテナ、葵は先の聖戦で死した山羊座聖闘士の転生であると申したな。」

沙織「はい。」

冥王「その転生の理はおかしいのだ。余が治める冥界、その最奥にある氷獄コキュートス。そこに落とされる者の条件を覚えていよう。」

沙織「アテナの聖闘士、ですね。」

冥王「そう。コキュートスに落とされた聖闘士は、永劫抜け出せぬ。先の聖戦で３人の黄金聖闘士たちが抜け出せたが、それはあくまでそなたの小宇宙によるもの。」

海皇「更には、今生きている聖戦で死した聖闘士、それ以前に死した聖闘士が再び生を賜れたのは、協定での決まり事だったから。それ以前、協定を結ぶ事無く終わった聖戦での聖闘士は範疇外だ。」

沙織「では！」

冥王「そう、葵が転生するという事。余の決めた冥界の法を潜り抜け、転生など有り得ぬのだ。」

海皇「彼女はそなたに仕える聖闘士。そなたならば、それを知っていると思ってな。」

冥王「あれは一体、何者なのだ？　アテナ。」


ハーデスとポセイドンはアテナに問う。


？「ちょっと待て！！」


その場に荒々しい声が響いた。