第３話「眠る姫君。」



シュラによって葵が教皇宮へ担ぎ込まれてから、すでに３日。

あの後すぐにハーデスとポセイドンが駆けつけ、沙織と共に葵の治療にあたっていた。

しかし、依然葵は昏睡状態で、目覚める気配がまるで無い。

今日も執務が行われているが、誰１人としてそれに集中する事ができない。

誰もが葵の無事回復を祈っているのだ。


シュラ「もう、３日か…。」

カミュ「あぁ。」


ポツリと呟いたシュラの執務机の上にある書類は一向に減っていかない。

それは他の黄金やシオンにも言えた事。

さすがに、シオンも必殺のちゃぶ台返しを発動させる気も無かった。


シオン「いかに葵が人外魔境であっても、今の状態が続けば危険だ。今もアテナたちが小宇宙を送ってくださるおかげで生命維持ができているようなものだ。このままでは、命にかかわる…！」


二百数十年の時を越え、再び出会えた仲間。

その仲間を救う手立てを何も講じられない自分の無力さに、シオンは時たまこう呟く。


『友を救えずして、何が教皇か…。』


と。

聖域に伝わる門外不出の書と毎日のように格闘し、何とか葵を元に戻す方法を見つけようとするが、未だ有効な手段は得られていない。

シオンだけではない。

黄金聖闘士たちもそれぞれに葵を救う手立てを探してはいるが、これもシオンと同じ結果である。

尊敬し、畏怖し、師事し、そして、恋慕している葵を救いたい。

それ一心で、皆は頑張っているのだ。