バイ「さて、ここからは我らで大使殿を御案内する。双子座殿はどうぞお引取りいただきたい。」

カノン「何？」

イオ「これ以上、貴方に海底神殿の床を踏んでもらいたくないのですよ、我々は。」

クリ「アテナが何を考えて居るのかは知らぬが、貴様が大使殿に同行するとは、神経を逆なでするのも大概にしてもらいたい。」

「皆さん…。」

ソレ「大使殿、参りましょう。帰りは我らが地上までお送りしますゆえ。」

カノン「待て！」

カー「見苦しいぜ、元筆頭殿？　さっさと聖域に戻って聖域復興にでも心血を注ぐがいいさ。」


まぁ、歓迎されるとは思っていなかったけど、ここまでカノンが嫌悪の対象になっているとは思わなかった。

だけど、カノンも前非を悔いて、真の清算の為にここへ出向いた。

話をしようとしても彼らはカノンの言うことなんて信じないだろうし、話を聞かせる事も難しい。

だが何だ、この海闘士とやらは。

これが正式な使者への礼儀か？

私はまだしも、カノンに対するこの仕打ちは礼儀からしてなってないじゃないか。

ポセイドンは一体どういう躾を海闘士どもにしている？


葵のストレスゲージは増すばかり。

怒りを前面に出さないために、何とか耐えている。

しかし、元より怒りに対する許容量なんて無いに等しい葵。

其れが、

『プッチン、パラパラ』

と音を立てて崩れ去るのは時間の問題だ。


カノン「アテナは俺に葵の護衛を任されている。１人で帰れる訳が無かろう。」

バイ「正直言おうか、カノン？　我らはお前と同じ空気など吸いたくも無いのだ！　我らを謀り、恐れ多くもポセイドン様を利用しようとしたお前など、誰が好き好んで招き入れるものか！　早々に、海界より去れ！！！」


カノンは何も反論できなかった。

バイアンの、いや、ここに居る全ての海闘士の怒りは向けられて当然のものだから。

聖域では自分は既に受け入れられているが、やはりここではそうもいかない。

カノンは苦渋の表情で耐えていた。

それを無駄にするつもりなどさらさら無いが…。


（すまん、カノン。私の許容は突破した！！）