～海界・ポセイドン神殿前～


アテナから大使を伴ったカノンがやってくると連絡を受けたポセイドンは、七将軍とテティスに出迎えを命じた。

表面では冷静に拝命した連中だが、内心は腸が煮え返るような思いを抱えていた。

自分たちの筆頭、ポセイドンの代行者。

彼の口から出る地上浄化はポセイドンの大いなる意志と信じ、地上を水で満たし、洗い清め、理想郷を築けると信じていた。

だが、結局それら全てはカノン１人の謀略だったと知り、今も海界ではカノン許すまじの気配は治まらない。


ソレ「そろそろ、来る時間ですね。」

テテ「はい。」

バイ「何故、あの男が海界に来る必要があるのだ！　来るならば大使だけで充分ではないか！　アテナは我々の精神を逆なでするつもりか！」


バイアンは怒りに満ちた瞳をしている。


カー「そうだな。ポセイドン様のご命令でなければ、誰があのような男を出迎えるものか。」

イオ「まったくだ。」

アイ「…許されるならば、この手で復讐を遂げたい気分だ。」


予想通り、カノンは海界では既に嫌悪の対象にまでなっていた。

神を謀りし大罪人。

罵られる存在であった。


クリ「どうやら、やって来たようだぞ？」


聖域との通路から、カノンと見た事のない女官が歩いてきた。