ミノ「あの巨大な小宇宙の持ち主ですからね。本気を出せばアイアコスは冥界の空を突き抜けて、地上まで吹き飛ばされかねませんから。」


しばらくすると、アイアコスが落ちてきた。


アイ「くっ！」


空中で体勢を整えて、かろうじて着地する。


ラダ「大丈夫か、アイアコス。」

アイ「あ、あぁ。何とかな…！」


葵はアイアコスに手を差し出す。


「大丈夫か？　加減はしたけど…。」


アイアコスは葵の顔を見上げる。


「アイアコス？」


首を傾げる葵。

すると、ガバッとアイアコスが立ち上がり、葵の両肩を掴んだ。


「ななな、何だ！？」

アイ「惚れた！！！」

全員「「はぁ～～～！？」」

アイ「葵、俺と付き合おう！！　勿論、結婚を前っ、いてっ…！！」


その時、アイアコスの頭をアイアンクローで掴む男が１人。


ラダ「三巨頭の品位を何と心得ている、アイアコス！」

アイ「いいだろ！？　冥闘士が恋愛禁止なんて掟はない！」

ラダ「時と場合と場所を弁えよと言っている！！　今、葵殿は聖域親善大使として、ハーデス様にお目通りをする立場だぞ！！」

アイ「ちぇ～；　いいさ、葵が大使なら冥界に来る機会だってまだまだあるんだからな。その時には絶対に口説き落としてみせる！」


明後日の方向にガッツポーズをしているアイアコスをキレイに無視して、葵はラダマンティスの肩を叩く。


「君も苦労性だね；　地上に良い胃薬があったら持ってくるよ。」

ラダ「お心遣い痛みいる…。（溜息）」

ミノ「そろそろハーデス様がお見えになる刻限ですね。葵殿、女官服に着替えていらっしゃい？」

「そうさせてもらう。アイアコス殿、また屋敷に部屋を借りるぞ？」

アイ「敬称はいらない。アイアコスだけで良い。」

「しかし、それでは…。」

アイ「俺と葵の仲じゃないか。拳を交えた者同士、仲良くしよう！」

「…フフッ、面白いな君は。では、これからはアイアコスと呼ばせてもらうよ、公の場以外ではね。」


葵は再びアイアコスの館の中に入っていった。