２人は構えて向き合う。

一分の隙もない、見事な構えだ。


（こいつ、できるな。さすがは三巨頭最強と言うだけある。）

アイ（この娘、やる！　隙を見せれば一気に畳み掛けられるな…。）


今、２人の脳内ではどう仕掛けるかフル回転で思考が回っている。

シリアスな場面だが、ここに１人曲者が居たのを葵は忘れていた。


ミノ「強く美しいレディですね、彼女。やはり、私の妻に相応しい女性です。そうは思いませんか？　ラダマンティス。」

ラダ「寝言は寝て言え、ミーノス。」

（が、外野がうるさい～；）


ここが聖域なら遠慮なく必殺技をブチかます所だが、ここは冥界。

まかり間違って三巨頭にとどめを刺してしまっては、親善どころか聖戦のやり直しになってしまう。


アイ「隙あり！！！」

「しまっ…！？」


アイアコスもやはり三巨頭、僅かな隙も見逃さない。


アイ『ガルーダフラップ！！！』

「うわぁっ！！」


葵の体が天高く舞い上がる。

と、思った瞬間。


ガシィ―――！！！


アイ「何ぃ！？」


葵の足先がアイアコスの両脇にはまっていた。

ガルーダフラップの威力で葵とアイアコスの体は宙に舞う。


アイ「こ、これは！？」

「悪いな、アイアコス。君の技の威力、そのまま君に返してやるよ！！　くらえ！」


葵は空中で一回転し、アイアコスを空中に押し上げる。


『ジャンピング・ストーン！！！』

アイ「うわぁああああ！！！」


アイアコスはガルーダフラップとジャンピング・ストーンの威力により、アンティノーラの上空高く、飛ばされてしまった。


ラダ「アイアコス！！」

ミノ「見事、星になりましたねぇ。」

ラダ「ノンビリと言っている場合か！」

ミノ「安心なさい、ラダマンティス。大使殿も手加減してくださったようですから。」

「何だ、バレたか。」


着地した葵はバツの悪そうな顔をする。