私の座っていた椅子は豪奢な造りで、背もたれが大きく、後ろにいる連中からは私の存在はわかるまい。

小宇宙も抑えきっていることだし。

あれだけの小宇宙を一瞬でも開放したら、存在をばらしてるようなモンだし、これ以上隠してても仕方がない。

私はスッとその場に立った。


？「何者！」

ミノ「その方が大使殿ですよ。」

？「何だと？」


意外そうに私を見る２人に自己紹介をする。


「聖域親善大使、御剣葵と申します。」

ミノ「貴方がたも名乗ったらいかがですか？」

？「俺は天雄星ガルーダのアイアコス、三巨頭の１人だ。」

？「同じく三巨頭の１人、天猛星ワイバーンのラダマンティス。」


ミーノスは館の兵に命じて、他の冥闘士の分のお茶も用意させた。

もちろん、後ろに控えていた者たちの分まで。


アイ「では、先ほどの小宇宙はこの大使殿だと？」

ラダ「この女性が？」


２人とも一向に信じられないという表情だ。


ミノ「貴方がた、私の言う事が信じられないと？」

「ミーノス殿、抑えられよ。確かに見た目だけではわかるまい。実際に見せてやるのが効果的だ。」


葵は再び小宇宙を開放する。

すると、後ろに控えていた数人の冥闘士が腰を上げ、ラダマンティスやアイアコスの前に立ち塞がった。

この小宇宙を持って主人や上司が襲われれば、いくら三巨頭でもタダではすまない。


「心配しなくても良い。ただ、小宇宙を開放したまでの事。事を構える気はサラサラないから。」


葵はすぐに小宇宙を引っ込めて、ニッコリ笑った。


「それにしても、兵は拙速を尊ぶというが…。彼らはとても優秀な闘士なのだな。」

ラダ「この者たちは俺直属の部下だ。」

「良ければ名をお聞かせ願いたい。」


ラダマンティスは部下たちに目配せする。


「天哭星ハーピーのバレンタインと申します。」

「天捷星バジリスクのシルフィード。」

「俺は天牢星ミノタウルスのゴードン。」

「私は天魔星アルラウネのクイーン。」

「地妖星パピヨンのミューといいます。」