「そう、私は女官じゃない。でも、偽名じゃないからその辺理解してくれるかな？」

ミノ「女官ではない、それでいて戦う者。聖闘士ですか？」

「正確には元聖闘士だけどな。」

ミノ「小宇宙を抑えていらっしゃいますね。」

「放出したら、それこそ問題じゃないかな？」

ミノ「少し、放出して見せてください。」

「…じゃ、少し。」


葵は己の小宇宙を一瞬だけ全開にした。

それは瞬く間にコキュートス周辺にいる冥闘士に危機を感じさせるくらい強大だった。


「ふぅ、こんなものか？」

ミノ「結構です。青銅や白銀ではありませんね？　でも、黄金の方々は面識があります。貴女はいらっしゃらなかった。」

「前山羊座黄金聖闘士、葵。その転生だと言えばわかるか？」

ミノ「なるほど、納得しましたよ。」


特に２人の空気は険悪になることもなく、兵が淹れてくれた美味しいお茶と茶菓子を摘みながら会話をしている。

そこへドカドカと乱暴な足音を立てて何人かが近づいてきた。


？「ミーノス！　いるか！」

ミノ「いませんよ、お引取り下さい。」

？「問答無用、入るぞ！」


バーンと開け放たれたドアの向こうには、ミーノスと同じくらい豪奢な冥衣を纏った男２人を先頭に、数人の冥闘士がいた。


ミノ「何ですか、貴方たち。人の館にドカドカと…。エレガントさが足りませんね。」


後ろに控えていた冥闘士たちは跪き、礼を取る。


？「先ほど、こちらからただならぬ小宇宙を感じた！　何があった！？」

？「今日は聖域の大使殿が来るんだぞ？　危険な目に合わせては今後の聖域との関係にも関わる！」


言葉遣いからすると、残りの２人って事か？

ミーノスに視線を送ると、彼はどうぞと言いたげに微笑んだ。