？「おや、可愛らしいお嬢さんですね。」


黒き疾風の谷を渡り終えると、目の前にある岩場から涼しげな声がした。


「どなた？」

？「あぁ、失礼。レディに姿も見せず…。」


岩場の影から出てきたのは、今まで会った冥闘士以上に豪奢で貴賓すら感じる冥衣を纏った男。


？「改めて御挨拶を。私は冥界三巨頭の１人、天貴星グリフォンのミーノスと申します。」

「グリフォンのミノムシ？」

ミノ「ミーノスです。貴女、ワザと言ってませんか？」

「失礼いたしました、ミーノス様。」


もちろんワザとだ、この野郎。

何だか、前世の記憶からしてイケ好かない策士っぽいイメージが離れてくれないんだよ。

なんていうか、聖域でいう所の腹黒中羊あたりがイメージが重なってしまうけど；


ミノ「さて、これからジュデッカまで貴女をご案内するようパンドラ様から承っておりますので。お手をどうぞ、レディ？」

「は、はぁ。では…。」


聖域ではレディなんて言われた事もないのでちょっとくすぐったい。

むしろイカツイ二つ名がアチコチで飛び交っているのだから。


ミノ「この先にある私の館で一休みいたしましょう。その頃には、あとの２人も来るでしょうから。」

「あとの２人？」

ミノ「三巨頭の残り２人です。天猛星ワイバーンのラダマンティス、天雄星ガルーダのアイアコスですよ。」


おいおいおいおい。

いきなり三巨頭に囲まれるっていうのはどうかと思うぞ！？

普通の女官だったら恐れ多いのと怖いので気絶するって！！


ミノ「ハーデス様がエリシオンからお出でになるまで、いささか時間がかかりますから。極上のシロルの茶葉などお出ししましょう。」

「ありがとうございます…。」