「んっ…。」

シュラ「気がついたか？」


気がつけば、あのシュラという男が傍にいた。


「ここ、は…？」

シュラ「磨羯宮の客間だ。外に転がしておくわけにもいかんだろう。」

「そうか、私は夢を見ていたんだな。」

シュラ「夢？」

「あぁ。懐かしい友の夢…。今生の別れの場面…。」


体を起こし、前髪をかき上げ、苦笑いする。


『霞がかっていたけれど、間違いなくあれは私の戦友たち。守るべき人の下へ向かわせるために、私は己の命を…盾にしたんだ。』


葵はシュラに礼を言い、そのまま宝瓶宮へと進むことにした。


シュラ「本当にもう少し休んでいかなくていいのか？」

「うん、あの御方の元へ一刻も早く辿り着きたいから。」

シュラ「あの御方？」

「…シュラ、私は嬉しいよ。山羊座がお前で。」

シュラ「？」

「ではね。」


去り行く葵の背に、シュラは何かを感じていた。


シュラ（あの女、もしかして…。）


シュラは調べ物をすべく、磨羯宮内の書庫に向かった。