ミロ「なっ、速い！！！」

「私は一度見た技は見切れる習性があるんでね！！　悪く思うなよ！！」


それはまるで、聖闘士ではないか！！

ミロがそう言おうとしたが、彼は言葉を口にする事ができなかった。


「はぁあ！！！」


葵の正拳が己の体に打ち込まれる。

まさに、目にも留まらぬ早業。

黄金聖闘士の中でも、敏捷性においてはトップクラスのミロが避ける事ができないほどに。

しかも、打ち込んでいる箇所は…。


ミロ（俺の星命点に、寸分違わず拳を打ち込むなど！！）


黄金聖衣を纏っているにもかかわらず、彼女の拳は重くて響く。

それはけして、星命点を精確に突いているだけではなく、その力も想像を絶するほどのものという事だ。


「ラストッ！！！」


そして、葵はミロのアンタレスの部分に今まで一番威力のある突きを打ち込んだ。


ミロ「ぬわぁあああ！！！」


ミロは天蠍宮の端から端まで吹き飛ばされ、壁に衝突して倒れた。


「ミロ、大丈夫か！？」


葵が近寄り、ミロを介抱する。


ミロ「くっ…、お前がここまで強いとは、計算外だったな…！」

「人を外見だけで判断するのは良くない事だと思うぞ？」

ミロ「フッ、違いない…。さぁ、俺はもう平気だ。次の宮へ向かうがいい。」

「そうか。あまり無理をしないでよ、ミロ。」


葵はミロの怪我に応急処置を施すと、そのまま人馬宮へ向かった。

ミロが応急処置された場所を見る。


ミロ「そうか、彼女は…。ならば、納得もできるというものだ。フッ…。」