？「ようこそ処女宮へ。私が乙女座のシャカだ。」

「私は御剣葵。沙織嬢からは色々聞いてるのか？」

シャカ「あぁ、聞いている。一般人の女性が１２宮を通る、その人物を見極めよと。」

「シャカに聞きたい事がある。」

シャカ「何かね？」

「アイオリアの所でも話したのだけど…。」


葵は話した。

この聖域に来てからの己の変化を。

不思議で、それでも懐かしくて。

己の内に何が起こっているのかわからないと。


シャカ「君は輪廻というものを知っているかね？」

「あぁ、多少は知っているつもり。生まれ変わりとか、そういうのだろう？」

シャカ「そうだ。デジャヴュは君の前世が聖域に関係する者だったからかもしれん。」

「それなら、デジャヴュは理解できる。だけど、アルデバランやデスマスクの時はどういった力の作用だろう？」

シャカ「かませ牛と腐れ蟹とはいえ、彼らも黄金聖闘士。それらを容易く伏せる事ができるとなれば…、君の前世は聖闘士だったかも知れんな。体が知らなくとも魂がその力を覚えているのだ。そして、聖域に戻った事によって、それが少しずつ顕現しているとは考えられんかね？」

「充分に考えられるね。最も、聖闘士だった記憶なんて無いんだけど。」

シャカ「前世の記憶を持って生まれ、成人するものは極稀な存在。よほど前世で徳を積んだ者か、心残りをしたまま没した者かだ。」

「そうか…。」

シャカ「疑問は晴れたかね？」

「完璧とは言えない。でも、行動するに支障は無いね。」

シャカ「ならば前に進むが良い。アテナの導きあらば、君の疑念も晴れるだろう。」

「わかった。で、通っても良いのかい？」

シャカ「通りたまえ。私はここで瞑想に戻る。次の宮は守護者が不在だから、そのまま８番目の天蠍宮へ進むがよかろう。」

「そっか…。シャカ、ありがとう。なるべく早めに沙織嬢の所へ行くよ。」


葵はシャカのいた花園を抜け、天秤宮と天蠍宮を目指した。